『現代ダンディズムのための信条および技術』
Beliefs & Techniques for Modern Dandyism

全国United Arrowsやロサンゼルス現代美術館(MOCA)などで配布・販売される「New Gentleman’s Hand Book」に30篇の詩を書き下ろしました(背表紙にも掲載)。
日本語詩を英訳するのは初。異なる言語で行間を照らす作業はとても楽しいものでした。USの翻訳者さん、編集者さん、UAさん、ありがとうございました。

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下記WEBでも読むことが出来ます(日・英)

http://www.unitedarrowsandsons.jp/catalog/sonsmagazine16aw/modern_dandyism/


BELIEF & TECHNIQUE FOR MODERN DANDYISM
『現代ダンディズムのための信条および技術』

シャツよりも季節に袖を通せ。

流行は夕立のように過ぎると知れ。

愚痴を言いそうになったらポケットチーフを食え。

ファッションの海を裸で泳ぎきれ。

多くを語るより、一篇の詩を書け。

その腕時計は川に投げ捨てろ。

甘ったるい匂いをさせて蜂に刺されるな。

服を買う前にスタイルを知れ。

ブレスレットはするな。

3年に一度、すべてを捨てること。

約束を破ったら、一度、腹を切れ。

思い出に浸るのは1日3分までにしろ。

金のことは、もう言うな。

恋人と雨音の数を数えろ。

煙草を吸うよりは雲を作れ。

ファッション雑誌は見る前に燃やせ。

時には自分自身をクリーニングに出せ。

くるぶしを出しすぎて風邪をひくな。

ひとりのテーブルでも皿の上を整えろ。

ワインの香りを何かにたとえるな。

時間という若さの馬鹿野郎たちに媚びるな。

お洒落だと思うなら、着た切り雀になれ。

iPhoneをハンマーで叩き、魂を身体に戻せ。

折り畳み傘を持ち歩く臆病者になるな。

内ポケットに心の優しさを忘れるな。

嘘をついてネクタイを締めるな。

スーツをオーダーし、笑うために生きろ。

書物を読み、書物を纏え。

ダンディズムはSNSではなく自らの足跡に残せ。

大衆を撃ち、孤独の中で洗練に恋をしろ。

【memo】
「ダンディならば、鏡の前で生き、鏡の前で死ね」(シャルル・ボードレール)。ダンディズムというのは、ファッションのみを示すのではなく、大衆に背を向け、孤高の精神を持って生きる姿勢にある。ボードレールをはじめ、バイロン卿やオスカー・ワイルドなど、多くの詩人たちもまた、その美意識を追求した。その意味ではアメリカのビート詩人、ジャック・ケルアックも私の中ではダンディのひとり。彼が書き残した「現代散文のための信条および技術」という30の覚え書きがある。私なりのオマージュも含めつつ「現代ダンディズムのための信条および技術」30をひそやかに記す。

さあさあ、そのおまえの中途半端な服はとっとと捨てて、素っ裸で、季節に袖を通すのだ。