PEACH JOHN 春の新作に3編の詩を書きました。‪中村アンさんが表紙、販売中のカタログ、及び下記のWeb特設ページにて。‬
https://www.peachjohn.co.jp/pj/special/flower/‬

 

季節を脱いで 手のひらで

静かな重さを包んだら

二人は潜る 水槽の中

 

 

いくつかの花びら 封筒に閉じ込めて

私は4月の住所を書いた

郵便ポストに差し込むような

いつかの指先

体をなぞる 春の日差し

 (八重桜)

 

春色の花束を 胸にそっと隠して

軽やかな足取りで 私は5月の街をゆく

季節に袖を通したら どこへでも行けることを

教えてくれたあの人に

 (チューリップ)

6月の雨を体に巡らせて

いくつもの色を咲かせるように

葉の上をすべる水滴 床の上に落ちる紫陽花

季節を脱いで 手のひらで

静かな重さを包んだら 二人は潜る 水槽の中

(あじさい)